’70のFLH試乗

去年の年末、機会があり色々な年代のビッグツイン3台に試乗できました。

最新モデルのファットボーイ、1990年代のFLX、1970年のFLHです。

ハーレーはビンテージこそ味わい深く面白いとも言われます。

さて、実際のところどうでしょうか?

ファットボーイ

ツーリング先にハーレーのディーラーがありました。ちょいと覗いてみるだけのつもりでしたが、試乗をすすめられ、流れで試乗することになりました。

ファットボーイといえば少し前の映画、ターミネーター2でシュワルツェネッガーが乗ってたバイク。試乗したのは最新モデルなのでかなり雰囲気が違います。

まず、メーターがタンクの上にあります。F系だから当たり前。ハーレー以外のアメリカンバイクでも良く見かけるレイアウトです。が、目線の移動が通常のメーター位置より大きくて少し戸惑います。ウインカーの表示も最初は良く分からなかった。

運転するために正立させます。重いです。

エンジンの音。凄くマイルド。

ハーレーにありがちな元気の良い排気音には引かれつつ、個人的には小さい排気音のほうが好みです。その私がマイルドすぎる・・と感じるほど。

大抵の人はカスタムするから良いのかな?

そして、気になるのがヒューヒューという吸気音?なにか、ホンダ車を連想しました。

クラッチミートはハーレーらしくなく、少しシビアに感じました。BMWなんかがそうですが、気をつけないとエンストしそうに感じました。

走り出しますと、さすがの加速感。物凄いです。

鼓動感も角が取れたマイルドな感じです。長距離も楽そうです。

下道で走るときは2~3速。速度が落ちてきて変速を落とさないとかなりギクシャクします。

タイヤが太いせいでしょうか。軽快感はありません。バンク角も少なめ。すぐステップをこすりました。

逆に直進安定性は素晴らしかったです。

とくに低速での安定感は恐ろしいほど。歩くスピード以下になっても、まったくふらつきません。足を出すのを忘れそうな恐怖を感じました。

いったんどこかで停車して、足でクロールしてバックするとかは案外、重いながら出来ます。

ライト周りが面白い形に進化してます。この辺は好みが別れそうです。

FLH

ファットボーイに乗ってから一月ほどして、古いハーレーの専門店で試乗会がありましたので、お邪魔しました。

長年憧れを感じていたFLHです。ショベルヘッドのエンジンです。

FLH、まず乗前に乗り方のレクチャーをうけました。

イグニッション、オンにしてクラッチ握ってスターターを押して始動。

ウインカーは今のハーレー同じ、左右ばらばらの方式。ただし、押しているときだけ点灯。現代目線では小さく丸い、押しにくいボタンです。

そしてスロットルは手を離しても自動で戻らない。

1速から2速に上げるときは素早くとのこと(結構動かす距離がある)

FL系のハーレーによくあるシーソーペダルがあれば、かなり楽そうです。試乗のバイクにはありません。ハーレーにシーソーペダルがあるのは、もしかして、これが理由?それともこの個体だけ?

リアブレーキはかかとで踏むこと。・・効きはよくない・・・とのことです。

ワイヤーで引っ張って動作するフロントブレーキの感覚。ほんの少し、かすかにワイヤーの伸び縮みを感じます。自転車のブレーキがそうですが油圧でないブレーキは新鮮です。

試乗します。

エボリューションにのった店員さんの先導について、走り出します。クラッチミート感よし。

程よい振動、加速感。フワフワゆれるシート。絶妙!これは気持ちよい。

ハンドルと、シートの関係。現行車と違う。やや違和感あります。しかし、まさにクラッシックバイクに乗ってる感が満載!

結構軽やかに走る。低速でもガクガクしない。この辺は現行車より乗りやすく、案外フレンドリーです。

前も、後ろもブレーキの効きは今のバイクと比べるとマイルド(笑)。慣れないと少し怖いです。かかとで踏むリヤは緊急時は慌てるかもしれません。

エボリューション

ぐるっと試乗して店近くまでもどり、店には戻らず店員さんとバイクを交代。エボに乗換えます。

こちら、乗った瞬間、違和感まったくなし。うーん、ポジションやスイッチ類などなつかしささえ感じます。

新鮮さはありませんが、走り出したとき。鼓動感、加速感に「面白ー!」と声が出てしまいました。鳥肌が出ました。比喩で無く。これは面白すぎます!

フワフワ上下する面白シートはありませんが、楽しい。ブレーキも普通に効いて安心です。

これは乗換え候補に入るでしょう!

新旧ビッグツインの乗り味

さて、思い起こしても楽しい体験をできました。

それぞれ、ショップの方々には感謝です。

昔からあいも変わらず同じようなバイクを作り続け・・と思いがちですが、新旧、まったく別の乗り物でした。もちろん脈々とハーレーらしさも感じられました。

自分の883の中にも、その感覚が乗り味、音、振動に少しずつ感じられました。

スポーツスター系はハーレーではない、との極論も聞きますが、明らかに他国のバイクとは一線を画したハーレーの味わいが感じられます。

ハーレーの味わいをもちながら、新旧で違うものだなと思いました。

とくに70年代のFLHは、どんな意味でも本物のクラッシックでした。

振動、鼓動感もそうです。単に揺れる、振動がある、では伝いきれないものがあります。古い機械独特なものなのか・・エンジンの振動とそれに共鳴する車体の振動・・独特の、唯一無二の感覚があります。

BMW、Rナインティーンなどはきっちり鼓動感(パルス感)が組みつけてあり、「こんなバイクを買う人はこんな感じが好みでしょ?」みたいな声が聞こえてきそうな気がしました。思うにR90は、あんな感じが自然にある極上のバイクだったのでしょうか。

古いバイクには現代のバイクが再現しようとする独特のバイクの楽しみ、そのものがそこにあったように思います。これなんですね、本物。

本物・・メンテに手間や費用が掛かる、をのぞいても、機械としてのゆるさとでも言いますか、なにかグニャ・・・な感がそこはかとなくあり、良くも悪くも形だけ模倣したネオクラッシックにはない感覚があったように思います。

しかし、もう少し新しいバイクに永く乗っていた身には楽しさとともに違和感もありました。人間、普段食べつけたものが一番美味しいのです。母の味です。

私は、70年代のバイクに乗るの初めてです。新鮮です。しかし、母の味ではありません。90年代前後がそこでしょうか。

そう思うとエボがぐっと来たのが分かります。

ポジションなども40年代、50年代の、もう忘れ去られた過去の感覚を感じます。ハーレー社自身、ビンテージ風のバイクを作っても、おなじポジションのバイクは作らないようですが、今を生きるライダーには違和感があるからでしょうか。

クラッシックバイクで古きよき時代を追体験する、というのも楽しそうです。古い軍装品を収集して戦時の体験を追体験するリエクナクト(再演)という趣味があるそうです。歴史再現実験ともいえますし昔の軍隊の格好をして高尚、正確な「戦争ごっこ遊び」かも知れません。

古いバイクに乗る、というのも一種のリエナクトかもしれません。

古い映画や写真で見るだけだったバイクにのり走る!極上の感動体験です。

結論

結論?というのも変ですが、バイクは趣味の道具です。その道具でどんな遊びがしたいかでしょう。

私がバイクに求めているもの、バイクでしたいことは、まず走りたい、です。

時間があれば走りたい。走る事自体が無性に楽しいからです。スキーやスノボの好きな人なら滑る事そのものが楽しいという感覚でスキー場に行くと思いますが、それです。バイクで走る事はスキーで滑るごとく好きならばとても楽しい事です。バイクなら無限ゲレンデで永久に下り坂を滑れます!

ですから、整備やその他の部分は最低限にしたいと思っています。

また、まとまった時間が出来るのを待っていては走れる時があまりもてません。

目の前に無限ゲレンデが待っているのにもったいない!ですから、ほんの少しの時間でも、チョッとした買い物や用事でもバイクに乗って走る楽しみを拾い集めたいのです。

そうなると、やはりビッグツインやビンテージバイクは少し遠慮したい存在かもしれません。私のバイクの楽しみ方では最適解ではないような気がします。

しかし頭の中で理屈をこねくり回して自己正当化するのではなく、行動に移し、身銭を切れば、深層心理で元を取らねば・・とのセコイ考えが働いてどんなバイクでも趣味の道具としても、日常の足としてもそこそこ使えるかも、使ってしまうかもしれませんけどね。

FLHでスーパーに買い物・・・うーん、乙です!

あのサドルバッグに大根や米を入れたい・・・(笑)

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